2009年6月18日木曜日

ジプシー

ジプシーとは現在総人口は推定で800万人以上とされている移動生活を行っている民族である。
原因は不明だがジプシーたちの移動は6世紀から7世紀にインド北西部から移動を開始した。14世紀になって東部ヨーロッパやバルカン半島に移った。
  
  ジプシーという名称はヨーロッパに着いてから「エジプトから来た者たち」に由来する。

 【言語】 ジプシーたちの言語はインド=アーリア語に入る。しかし現在のジプシーの多くが使用している言語は,ヨーロッパに移動してくるまでに通過した多くの国の言語を取り入れて変化してきた。
とくにヨーロッパのジプシー語には,中世ギリシア語が多く含まれている。それは14世紀にギリシアに移動したのち長期間にわたってそこにとどまっていたためと推定されている。また,移動経路によってルーマニア語をもったものの,ハンガリー語そしてドイツ語をもったグループなどが見出される。文字はもっていないが,語の形成と文法の特徴として,名詞に男性と女性の区別があり,単数と複数の区別がある。男性語尾には-oまたは-aがつき,女性語尾には-iがつくのが特徴である。

 【生業】  定住者の仕事は移動生活をつづけているジプシーの生活形態を破壊することから適していない。そこで職業は移動生活に支障をきたさないものに限られた仕事になる。
 第一に移動の手段として用いた家畜の売買。ヨーロッパに入ってからは,多くの交通手段に使用されていた馬の売買が中心となっている。
 次に考えられる仕事としては,つれ歩く家畜に芸を仕込んで見せものにするものがある。大きいものは熊つかい・馬の曲乗り,そしてサーカスとともに旅をして動物の芸を見せる職がある。

 以上のような職業は恒常性に欠けるため,多くのジプシーは手仕事によってものをつくって売り歩いて生計を立てている。それらは籠つくり・レース編みなどが中心となっている。また,くず鉄商や鋳掛屋などもジプシーの伝統的な職業となっている。現代の産業社会にあってジプシーの職業は閉ざされてきつつあり,自分の労力を提供して生計を立てることも考えるようになった。組織に加わらず労働を提供する仕事,たとえば季節労働者の仕事は,ジプシーにとって最も好まれるものの一つである。

 *戦後はドイツでは景気変動の中、権利を与えられていなかったロマたちはこれらの生業が成立せず経済的に困窮化が進んだ。

 【宗教】 ジプシーはインドを出たときから,通過する土地の宗教を信仰してきた。ヨーロッパのジプシーはキリスト教信者であるが,カソリックとプロテスタントに区別されている。なかでもプロテスタントの新しい宗派は,教会に行かずにどこでも礼拝できることから移働生活者にとって都合がよいため,近年その数が増加する傾向にある。



久,相沢.ジプシー.東京都:講談社,1980.

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